毎日続けられる簡単な練習法10選

~日々の積み重ねがあなたの表現力を育てる~

はじめに:小さな習慣が大きな変化を生む

絵を描く上で、継続的な練習は技術の向上に直結します。しかし、忙しい毎日の中で「毎日描く」という目標は、時にプレッシャーにもなります。そこで重要なのが、「簡単に・短時間で・楽しく」取り組める練習法を習慣化することです。

本記事では、初心者の方から幅広く実践できる「毎日続けられる簡単な練習法」を10個厳選し、それぞれの効果やコツをご紹介します。

1. 1分スケッチ:手を温める導入練習

内容とやり方

  • タイマーを1分にセットし、身の回りの物を素早く描く
  • 例えばコップ、文房具、観葉植物など

ポイント

  • 線の正確さよりも「素早く観察して描く」反応力を養う
  • 長時間かけずに毎日のルーティンにしやすい

2. ジェスチャードローイング:動きのある線を描く練習

内容とやり方

  • 人のポーズ(写真でもOK)を15~30秒で描く
  • シルエットや動きを意識

ポイント

  • デッサン力よりも「全体の流れ」を捉える訓練に最適
  • イラストやキャラクター制作にも応用しやすい

3. 色のグラデーション練習:3色を使って滑らかにつなぐ

内容とやり方

  • 赤・青・黄色など、色を3つ選んで滑らかに混色していく
  • アナログでもデジタルでもOK

ポイント

  • 色彩感覚や混色の理解を深められる
  • アクリルや水彩の発色チェックにも便利

4. ミニマム・ドローイング:5分間だけの作品制作

内容とやり方

  • 毎日1枚、5分間でミニ作品を描く
  • サイズはハガキ程度の小さな用紙を使用

ポイント

  • 制限時間が集中力を高め、アイデアの整理にもつながる
  • 気軽に続けられるため「練習=楽しい」に変わる

5. パターン模写:繰り返しがリズム感を育てる

内容とやり方

  • シンプルな模様(唐草模様、幾何学模様など)を繰り返し模写
  • 手帳やノートに描き足していく

ポイント

  • 線の安定感、反復による集中力が養える
  • アール・ヌーヴォー風の装飾感を鍛えるにも最適

6. 逆描きトレーニング:頭を柔らかくする練習

内容とやり方

  • 参考画像を上下逆さまにして模写
  • 脳をだますことで先入観を排除

ポイント

  • 「思い込みの形」ではなく「実際の形」を描く訓練に
  • 空間認識力がアップし、構図作りにも応用できる

7. 1日1アイデア:視覚メモとして記録する

内容とやり方

  • ノートやスケッチブックに、1日1つ「作品アイデア」を描く
  • 簡単なラフでOK

ポイント

  • アイデアのストックとして活用でき、創作へのモチベーションが持続
  • インスピレーションの整理にも役立つ

8. 質感トレーニング:素材を意識して描く

内容とやり方

  • 木、金属、布、ガラスなど、異なる質感を1日1種類練習
  • 実物または写真を参考にする

ポイント

  • 質感の表現力が高まり、リアリティのある作品に近づける
  • ハイライトや陰影のつけ方も自然に身につく

9. 5分クロッキー:人体や動物の動きを捉える

内容とやり方

  • 動画や写真を見ながら、5分間で素早く描く
  • 姿勢やバランス、重心を意識

ポイント

  • 構図作りの基礎にもなり、観察力が磨かれる
  • デッサン力の土台となるトレーニング

10. お気に入りの作品模写:尊敬する技術を吸収する

内容とやり方

  • 好きな画家やイラストレーターの作品を、部分的に模写
  • 線の流れ、構図、色の使い方などに注目

ポイント

  • 自分の表現の幅を広げるヒントになる
  • 技法分析の視点が得られ、創作にも応用しやすくなる

実践を続けるための3つの工夫

1. 場所を決める

作業場所を固定することで、「描く」スイッチが入りやすくなります。自分だけの練習スペースを確保してみましょう。

2. 曜日ごとのテーマを設ける

例:月曜=色彩、火曜=スケッチ、水曜=模写…など。テーマごとに練習内容を決めると飽きずに続けやすくなります。

3. 記録する

練習の成果を写真に撮ってSNSやブログに投稿したり、日付を入れて保管することで、継続のモチベーションにつながります。

練習を習慣化するための心構えとヒント

絵を描く習慣を続けるうえで最も大切なのは、「無理なく、気負わず、自分に合った方法で継続すること」です。以下では、練習を長く続けるためのマインドセットや、具体的な工夫についてご紹介します。

1. 完璧主義を手放す

「上手く描けなかったから今日はダメだった」と考えると、練習そのものが億劫になります。大切なのは「描いたこと」そのもの。描くこと自体が脳と手の連携トレーニングになるため、仕上がりの良し悪しにこだわりすぎず、まず“行動した自分”を認めてあげましょう。

2. 練習の目的を明確にする

  • 「色彩感覚を鍛えたい」
  • 「線を安定させたい」
  • 「構図力を伸ばしたい」

このように、明確な目的を持って取り組むと、同じ練習でも吸収率が大きく変わります。また、自分の成長を感じやすくなり、モチベーション維持にもつながります。

3. 自分なりの「練習ログ」をつける

スケッチブックやノートに、日付やその日のテーマ、描いた感想などを記録していくことで、振り返りができ、成長を可視化できます。練習が習慣化されるだけでなく、「今日はどんな練習をしよう?」と前向きな気持ちにもなれます。

SNSやコミュニティでのシェアを活用する

毎日の練習を「ひとりで黙々とやる」のも良いですが、SNSなどで練習成果をシェアすることで、新たな視点や反応を得ることができます。

活用アイデア

  • 練習用のInstagramやX(旧Twitter)アカウントを作る
  • 「#1日1スケッチ」「#ドローイング習慣」などのハッシュタグを使って投稿
  • 他の人の作品を参考にして刺激を受ける

誰かに見てもらえることで、自然と継続力も高まり、自信にもつながります。

忙しい日でもできる「時短練習アイデア」

「今日はどうしても時間がない…」という日もあるでしょう。そんなときは、以下のような“時短練習法”を取り入れてみてください。

1. 通勤中や移動中にスマホで指スケッチ

iPadやスマホアプリを使えば、指先だけでも簡単なスケッチが可能です。気軽に描くことで、「今日はできなかった…」という罪悪感からも解放されます。

2. ペン1本で描くモノクロ練習

鉛筆やペン1本だけを使って、影や質感をどう表現するかを意識することで、短時間でも非常に濃密な練習になります。道具を最小限にすると準備の手間も減り、取りかかりやすくなります。

3. 「描く」の代わりに「観察する」もOK

スケッチできない日には、「見る力」を鍛えるのも立派な練習です。日常の中で光の当たり方や色の変化に意識を向けるだけで、次回の制作に生きるヒントが得られます。

まとめ:小さな積み重ねが、確かな成長をつくる

毎日続けられる簡単な練習法は、ただのルーティンではありません。それは、**表現力を育み、観察力を磨き、自分だけの創作スタイルを築くための大切な“土壌づくり”**です。

今回ご紹介した10の練習法は、どれも短時間・低負担で始められるものばかり。スキマ時間にさっと描けるものや、気分転換にもなる楽しいメニューが揃っています。また、「練習を習慣化するための心構え」や「忙しい日の工夫」などを意識することで、無理なく継続できる環境も整えられるでしょう。

絵は、“一瞬で上手くなる”ものではありません。
ですが、「今日描いた一枚」が、未来の自分の礎になることは間違いありません。

あなたのペースで、あなたのやり方で、日々の中に“描く時間”をそっと置いてみてください。その積み重ねが、やがて深みのある作品、そしてあなた自身の“唯一無二の表現”へとつながっていくはずです。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)