アクリルガッシュ、アクリル絵具での「はだ色、肌色」の作り方

アクリルガッシュやアクリル絵具を使った絵画制作で、多くの方が悩むのが「はだ色」の作り方です。

「はだ色」と一口に言っても、人種や環境、ライティングによって微妙に異なります。この記事では、「はだ色」の基本的な調合方法と、色の調整のコツを解説します。

また、著作権侵害のリスクを避けるための注意点も触れていきます。

1. はだ色を作るための基本的な絵具の組み合わせ

「はだ色」は以下の基本色を組み合わせて作ることができます。

白(チタニウムホワイト): ベースとなる明るい色。

赤(カドミウムレッド、パーマネントスカーレットバーントシエナ): 血色感を表現。

黄(カドミウムイエロー、パーマネントイエロー: 暖かみや健康的なトーン。

青または黒(ウルトラマリン、アイボリーブラック): トーンを落として自然な影を作る。

作り方の例

1. 基本のトーン

はだ色を作る基本は、**白(チタニウムホワイト)**をベースに赤と黄を少量ずつ混ぜることです。このステップで注意すべきポイントを以下にまとめます。

  • 使用する赤: 「カドミウムレッド」や「パーマネントスカーレット」「バーントシエナ」など、明るめの赤を選ぶことで自然な血色感を演出できます。ただし、赤を入れすぎると肌がピンク寄りになるため、極少量ずつ加えて調整してください。
  • 使用する黄: 「カドミウムイエロー」「パーマネントイエロー」や「イエローオーカー」が適しています。特にイエローオーカーは肌の暖かみを出すのに役立ちます。
  • 混ぜるコツ: 白を多めに取り、赤と黄をほんの少量ずつ加えていきます。一気に混ぜすぎると色味が強くなりすぎるため、少しずつ絵具を足しながら、肌の自然な色に近づけてください。

2. 影の表現

影を表現するには、作った基本の肌色にを少量加えます。この工程でのポイントは、影の濃さや冷たさを調整することです。

  • 青を使う場合: 「ウルトラマリン」や「プルシャンブルー」などの冷たい青を使用します。少量混ぜることで、肌に落ちる影や、クールトーンの雰囲気を作ることができます。
  • 青を入れすぎると注意: 色味が灰色や青白くなり、不自然な仕上がりになるため、慎重に調整してください。
  • 黒を使う場合: 「アイボリーブラック」や「マーズブラック」などを少しだけ加えると、より深い影が表現できます。ただし、黒を多用すると色が濁りやすいので、青を加えた後の調整に用いると効果的です。
  • 塗り方の工夫: 筆を軽く使ってぼかすことで、滑らかな影を作れます。特に頬や鼻筋、目元などの立体感を強調する箇所に薄く重ねていきましょう。

3. 透明感の追加

透明感を出すためには、明るい色や暖かみのある色を少量加えます。このプロセスでよく使われる色と具体的なテクニックを紹介します。

  • オレンジの使用: 「カドミウムオレンジ」や「パーマネントオレンジ」を微量足すことで、健康的で明るい肌トーンが得られます。
  • 微量ずつ調整: オレンジを加えすぎると、肌が不自然に見える可能性があるため、1滴ずつ様子を見ながら混ぜましょう。
  • ピンクの使用: 「ローズピンク」や「アリザリンクリムソン」をほんの少し加えると、血色の良さや若々しい肌感を表現できます。特に頬や唇の近くに適用すると効果的です。
  • 白の活用: 透明感をさらに強調するために、最終的に白を加えて調整します。肌のハイライト部分(鼻筋や額の中央など)に薄く重ねることで、自然な輝きを演出できます。

色味の確認と調整

  • パレット上で試す: 作った色を紙やキャンバスに試し塗りし、実際の見た目を確認します。乾いたときの色味が湿っているときと異なる場合が多いため、少し乾燥させてから再調整してください。
  • 自然光の下でチェック: 室内の人工照明では肌色が黄みや赤みがかって見えることがあります。必ず自然光の下でも確認するようにしましょう。

この詳細な手順をもとに、さまざまな肌トーンを自在に表現してみてください!

2. 色の調整で知っておきたいポイント

  • 人種や年齢を意識: アジア人の肌には黄色系、欧米人には赤系、アフリカ系には茶色系の調整が必要です。
  • ライティングの影響: 肌の色味は光源によって変わるため、描くシーンを明確にしましょう。
  • 筆跡の使い分け: アクリルガッシュのマットな質感を活かすときは、筆跡を消す方向で、アクリル絵具では透明感を活かす手法を試してみてください。

3. アクリルガッシュとアクリル絵具の違い

  • アクリル絵具: ツヤがあり、透明感やレイヤリング効果が得られます。リアルな質感を表現するのに適しています。

4. 著作権侵害を避けるための注意点

絵画作品においても、他人の作品を参考にする際には以下に注意しましょう。

  • 著作権の範囲を確認: 他者の作品をそのまま模倣するのはNG。参考資料として使う場合は、大幅なアレンジを加えましょう。
  • フリー素材の活用: 肌のトーンや影の付け方を学ぶ際には、フリーの参考資料や自分で撮影した写真を活用するのが安全です。
  • 公表の際の明記: 完成した作品をSNSやウェブサイトで公開する際は、参考にした資料について触れることも考慮してください。

5. まとめ

アクリルガッシュやアクリル絵具での「はだ色」の作り方には、基本色の選び方や微調整のコツがあります。

また、著作権を意識した制作を心がけることで、安心して作品を発表できます。今回の内容を参考に、ぜひオリジナリティあふれる作品を制作してください!

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)