厚塗りアートと薄塗りアートの違いと使い分け

デジタルアートやイラスト制作において、「厚塗り」と「薄塗り」という2つの塗り方があります。それぞれの技法には異なる特徴があり、用途や表現したい雰囲気によって使い分けることが重要です。

本記事では、厚塗りアートと薄塗りアートの違いや、それぞれのメリット・デメリット、適したシチュエーションについて解説します。

厚塗りアートとは?

厚塗りの特徴

厚塗り(あつぬり)とは、筆のタッチを生かしながら、色を何度も重ねて描く技法です。デジタルでは、透明度の低いブラシを使用し、混色しながら塗ることで、絵具を重ねたようなリアルな質感を出します。

特徴

  • 色を重ねながら塗るため、奥行きや立体感を表現しやすい
  • 絵の具のような質感があり、油絵や厚塗りの水彩画に近い仕上がり
  • 線画をあまり使わず、色や陰影で形を作ることが多い
  • 筆のタッチやブレンドの仕方が個性となりやすい

厚塗りのメリットとデメリット

メリット

  • リアルな表現ができる:人物や風景に奥行きを持たせやすい
  • 雰囲気のある仕上がり:油絵のような独特のタッチが生まれる
  • 線画に頼らない描き方が可能:絵の具を重ねるように塗るため、自由なタッチで描ける

デメリット

  • 制作時間が長くなりやすい:何度も色を重ねるため、完成までに時間がかかる
  • 慣れるまで難しい:混色や筆の扱いにコツがいる
  • 筆の選び方が重要:適切なブラシを選ばないと、思ったような質感が出せない

薄塗りアートとは?

薄塗りの特徴

薄塗り(うすぬり)とは、透明度の高い色を重ねながら塗る技法で、水彩やアニメ塗りに近い表現ができます。デジタルでは、レイヤーを重ねたり、エアブラシを使うことが多く、柔らかく滑らかな仕上がりになります。

特徴

  • 透明感のある塗りができる
  • グラデーションやぼかしを活用することが多い
  • 線画を活かしつつ、色を重ねるスタイルが一般的
  • 淡い色彩や柔らかい印象を出しやすい

薄塗りのメリットとデメリット

メリット

  • 短時間で仕上げやすい:透明感を活かした塗り方のため、比較的短時間で描ける
  • 線画との相性が良い:線画を活かしたイラストに向いている
  • ふんわりとした優しい印象を作れる

デメリット

  • 奥行きや立体感を出しにくい:厚塗りに比べると、平面的になりがち
  • 色の調整が難しいことがある:透明度を活かすため、色の調整が繊細
  • はっきりした質感を出しにくい:細かい質感表現には向かない

厚塗りと薄塗りの使い分け

表現したい雰囲気で選ぶ

厚塗りと薄塗りは、作品の雰囲気によって使い分けるのがポイントです。

塗り方向いている表現
厚塗り重厚感のあるリアルな描写、絵画的な雰囲気
薄塗り軽やかで透明感のある仕上がり、ふんわりした表現

作品のジャンルで選ぶ

ジャンルによって、適した塗り方があります。

  • キャラクターデザインやアニメ風イラスト → 薄塗り向き
  • リアルな肖像画やファンタジーイラスト → 厚塗り向き
  • 水彩風のイラストや風景画 → 薄塗り向き(透明感を活かせる)
  • 重厚な背景やファンタジー系の背景画 → 厚塗り向き(奥行きが出しやすい)

制作時間や手間で選ぶ

  • 時間をかけてリアルに描き込みたい → 厚塗り
  • すばやく柔らかい雰囲気を作りたい → 薄塗り

4. まとめ

厚塗りと薄塗りは、それぞれ異なる特徴を持つ塗り方です。

  • 厚塗りは、重厚感のあるリアルな表現に向いており、立体感や奥行きを出すのに適しています。
  • 薄塗りは、透明感のある軽やかな雰囲気を作りやすく、線画との相性が良いのが特徴です。
  • 用途や表現したい雰囲気に応じて使い分けることが重要です。

自分の描きたい作品や、表現したいスタイルに合わせて、適切な技法を選びましょう!

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)