プロも実践するデッサン練習法|上達の近道と効果的なトレーニング

デッサンは絵の基本中の基本でありながら、最も奥が深い技術のひとつです。

初心者から上級者まで、常にレベルアップを目指すために欠かせない練習です。

この記事では、プロの画家やイラストレーターも実践しているデッサン練習法を詳しく紹介し、さらに上達を加速させるポイントをお伝えします。

1. デッサンとは?改めて知っておきたい基本

「デッサン」とは、フランス語の dessin(素描)が由来で、物の形や質感、立体感を紙に写し取る基礎的な技法のことです。

単に模写するのではなく、対象をよく観察して構造やバランスを正しく捉える訓練として非常に重要視されます。

プロの世界でもデッサン力は作品の完成度を大きく左右するため、いまもなお多くのプロがデッサンを日々のルーティンに取り入れています。

2. プロも取り入れるデッサン練習のポイント

プロがデッサン練習で大切にしているのは、以下のポイントです。

  • 正確に観察する力
    • 形のゆがみやバランスを目で判断する能力
  • 構造を把握する力
    • 人物なら骨格や筋肉、物なら立体の構造
  • スピードと柔軟性
    • 仕事の中で短時間で描ける力も必要
  • 持続力と習慣化
    • 一度きりではなく、毎日続ける

この土台を押さえたうえで、プロはさらに効果的な練習法を工夫しています。

3. プロが実践する効果的なデッサン練習法

3-1. クロッキー

クロッキーは、短時間でモチーフの特徴をつかむ練習です。

例えば人物のポーズを1分〜5分程度で描き続ける方法が有名で、瞬間的に形をとらえる観察眼とスピード感が鍛えられます。

クロッキーのポイント

  • 時間を区切る(タイマーを活用)
  • ポーズ集や実際の人の動きを描く
  • 細部より大きな形を優先する

「失敗してもいい」と割り切ってたくさん描くのがクロッキー上達の秘訣です。

3-2. モチーフの反復練習

プロの中には「同じモチーフを何十回も描く」ことを習慣にしている人もいます。

例えば、石膏像の顔を何度も描く、人の手や足を繰り返し描くなど、繰り返しによる観察の定着が大きな効果を生みます。

最初は上手に描けなくても構いません。反復する中で、少しずつ構造や比率の理解が深まっていきます。

3-3. 構造理解と骨格デッサン

人物デッサンをするなら骨格の知識は欠かせません。

筋肉や骨の仕組みを知ると、外形のラインだけでなく立体的な理解が深まり、自然なポーズが描けるようになります。

  • 骨格モデルの書籍を参考にする
  • 人体模型を用意して回転させながら観察する
  • 骨格スケッチを繰り返す

といった具体的な方法で構造把握の力を強化しましょう。

3-4. 光と影の研究

立体感を表現するうえで、光と影の理解はとても重要です。

プロも「光源を変えながら描く」練習をよく行います。

  • 1つのモチーフに対して異なる光の方向で描く
  • 影の濃淡を複数パターンで試す
  • グレースケールで描いてみる

このような練習で、より説得力のある立体表現が可能になります。

4. デッサン上達に役立つおすすめアイテム

4-1. クロッキー帳

ページ数が多くて気兼ねなく描き込めるクロッキー帳は必須です。

スケッチブックよりも紙が薄く軽いものが多いので、反復練習に向いています。

4-2. 鉛筆・木炭

プロでも鉛筆の濃度(2H〜6Bなど)をそろえて使い分けています。

また木炭は一度塗った部分を消して描き直しやすいため、立体感の表現力アップに役立ちます。

4-3. モデル写真集

人物のポーズ集や手足の資料集は、クロッキーや構造練習の強い味方です。

近年はインターネットでダウンロードできるデジタル資料も豊富なので活用しましょう。

5. プロが続けるモチベーション管理のコツ

デッサンは地道で孤独な練習が多いため、続けるための工夫が大切です。

プロが実践しているモチベーション維持法も参考にしましょう。

  • 目標を小さく設定して達成感を味わう
  • SNSで発表し、フィードバックを得る
  • 仲間と一緒にデッサン会に参加する

「昨日より少し成長した」という実感を積み重ねることが、継続の最大のポイントです。

6. プロならではのデッサンに役立つ視点

プロは単に形を写すだけでなく、「見る目」そのものを鍛えることに重点を置きます。

たとえば次のような視点を常に意識しています。

  • シルエットで形を捉える
    → 複雑なモチーフでも、影絵のように一度シルエットに置き換えることで、バランスやプロポーションのズレを見抜きやすくなる。
  • 比率の目測トレーニング
    → スケッチの最中に「頭の大きさに対して胴体は何倍か」など比率を暗算で意識しながら描く習慣。
  • 水平・垂直の基準線を意識する
    → 体の軸や物の重心が傾いていないかを確認するために、画面上に仮想の縦横線を引いてチェックする。

これらの視点は、最終的に作品の仕上がりの完成度を高める大きな武器になります。

練習を重ねるうちに自然と取り入れられるようになるので、意識してみてください。

7. デッサン練習のつまずきと克服法

デッサン練習では、多くの人が似たような壁にぶつかります。

よくあるつまずきと、その克服のヒントを紹介します。

・つまずき1:モチーフの歪みが直らない

克服法
描いた後に左右反転して確認したり、鏡に映して客観的に見ることで、自分では気づきにくい歪みを発見しやすくなります。

・つまずき2:描くスピードが遅くて時間がかかる

克服法
クロッキーを取り入れて、制限時間内に描く訓練を続けると、最初は雑でも次第にスピードと正確さのバランスがとれてきます。

・つまずき3:モチベーションが続かない

克服法
短期間のゴール(「1週間で10体描く」など)を設定したり、他の人と見せ合う仕組みを作ると張り合いが生まれます。

SNSやオンライン講座で仲間を見つけるのも大変おすすめです。

このように、つまずきを感じたときに「どう克服するか」を知っておくと、練習の継続に大きな支えになります。

ぜひ自分に合った方法を見つけて、続けてみてください。

8. まとめ

デッサンは、プロにとっても初心者にとっても「絵の基礎体力」を養う欠かせないトレーニングです。

  • クロッキーで瞬発的に形をつかむ力
  • モチーフの反復で観察力を強化
  • 骨格や構造の理解で説得力のある表現
  • 光と影の研究で立体感を磨く

といった練習法は、プロが日常的に取り入れている極めて実践的な方法です。

さらに、

  • シルエットを意識した形の把握
  • 比率や基準線を活用した構造チェック
  • 練習の中でのつまずきを克服する考え方

などのプロ視点を取り入れることで、より効率的に上達を目指せます。

デッサンはすぐに結果が出るものではありませんが、コツコツ積み重ねるほど確実に成長を感じられる分野です。

「昨日より少し上手く描けた」という小さな自信を日々積み重ねながら、自分のペースで続けてみてください。

絵を描くすべての人にとって、デッサンの技術は大きな財産となります。

ぜひ今回ご紹介したプロも実践するデッサン練習法を、あなたの制作に役立てていただければ幸いです。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)