ジンクホワイトとチタニウムホワイト

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アクリル絵の具のジンクホワイト(Zinc White)とチタニウムホワイト(Titanium White)の違いについて

アクリル絵の具のホワイトピグメントの違い

(ピグメント:英語で「顔料」を意味する言葉で、水や油などに溶けない色素の総称です)

アクリル絵の具で最も一般的に使用されるホワイトピグメントには、ジンクホワイトとチタニウムホワイトがあります。

これらのホワイトはそれぞれ異なる特性を持ち、用途や表現方法によって使い分けられます。

1. チタニウムホワイト(Titanium White)

成分と特性:

チタニウムホワイトは、酸化チタン(TiO2)を主成分としています。

これは、19世紀末に発見され、20世紀初頭に商業化された比較的新しいピグメントです。チタニウムホワイトの最大の特徴は、その圧倒的な隠蔽力と高い不透明度です。

これにより、他の色を完全に覆い隠すことができ、非常に明るく、純白に近い発色をします。

乾燥時間:

チタニウムホワイトは、比較的速乾性があり、厚塗りや多層塗りにも適しています。

そのため、短時間で作業を進めたい場合に有効です。

用途:

チタニウムホワイトは、特に下地を作る際や、強いハイライトを加える際に利用されます。

その高い不透明度と隠蔽力により、背景色を完全に消すことができるため、多くの画家に愛用されています。

2. ジンクホワイト(Zinc White)

成分と特性:

ジンクホワイトは、酸化亜鉛(ZnO)を主成分としています。

これは、18世紀半ばに発見され、19世紀に広く使われるようになったピグメントです。

ジンクホワイトの最大の特徴は、その透明度と柔らかな発色です。

チタニウムホワイトに比べて隠蔽力は劣りますが、透明感があるため、他の色と混ぜても色味を大きく変えずに白さを加えることができます。

乾燥時間:

ジンクホワイトは、乾燥が遅い傾向があります。

これは、特に薄く塗ったり、透明感を出したりする際に役立ちますが、乾燥を待つ時間が必要です。

用途:

ジンクホワイトは、透明感を生かしたグレーズ技法や、色の明度を調整する際に使用されます。

また、柔らかなハイライトや、微妙な陰影を表現する際にも有効です。

その透明度と柔らかな発色により、繊細な表現が求められる作品に適しています。

比較と選択

隠蔽力と透明度

• チタニウムホワイト: 高い隠蔽力と不透明度。背景色を完全に覆う。

• ジンクホワイト: 低い隠蔽力と高い透明度。背景色を透かしながら柔らかく明るさを加える。

※左よりジンクホワイト・チタニウムホワイト・アクリルガッシュホワイトです。これを赤く塗ったキャンバスに出し少量の水を加えて筆で伸ばしてみました。
※ジンクホワイトは透明度が高く、チタニウムホワイトとアクリルガッシュホワイトは、ほぼ同等の隠蔽力でした。

乾燥時間

• チタニウムホワイト: 速乾性。短時間での作業に向く。

• ジンクホワイト: 遅乾性。繊細な層や透明感を出す作業に向く。

用途と表現

• チタニウムホワイト: 強いハイライトや下地作り、厚塗りに最適。

• ジンクホワイト: 柔らかなハイライトや微妙な陰影、グレーズ技法に最適。

 

 

まとめ

アクリル絵の具のジンクホワイトとチタニウムホワイトは、同じホワイトピグメントでありながら、その特性と用途は大きく異なります。

この為、これらの特性を理解し、作品の目的や表現方法に応じて使い分けることが重要です。

チタニウムホワイトの強い隠蔽力とジンクホワイトの透明度を組み合わせることで、より豊かな表現が可能となります。

どちらを選ぶかは、作品のスタイルや技法、仕上げのイメージによって決まります。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)