アクリル画とアクリルガッシュ画の違いを徹底比較

はじめに

アクリル絵具は、多くのアーティストに愛用される人気の画材ですが、特に「アクリル画」と「アクリルガッシュ画」には明確な違いがあります。どちらも水性で扱いやすく、乾燥後は耐水性になるという共通点を持ちながら、仕上がりや技法において異なる特徴を持ちます。本記事では、アクリル画とアクリルガッシュ画の違いを徹底比較し、それぞれの特徴や用途、使い方について詳しく解説します。

1. アクリル画とアクリルガッシュ画の基本的な違い

項目アクリルガッシュ画アクリル画
絵具の性質不透明透明~半透明
発色マットで落ち着いた色合い鮮やかで光沢あり
塗り重ね可能(完全不透明)可能(下の色が透ける)
乾燥後の質感粉っぽくベルベットのような質感しっかりした塗膜
修正のしやすさある程度修正可能乾燥後は修正が難しい
水との相性水で薄めても基本的に不透明水で薄めると水彩画風にもなる
用途イラスト、デザイン、ポスター、絵画、壁画絵画、イラスト、壁画

2. アクリル画とは?

特徴

アクリル画は、アクリル絵具を使用して描かれる作品のことを指します。アクリル絵具は水で溶けますが、乾燥すると耐水性になり、油絵のように厚塗りもできるため、多様な表現が可能です。

メリット

速乾性:油絵よりも短時間で乾燥するため、作業効率が高い。

耐久性:乾燥後は耐水性になり、ひび割れしにくい。

多様な表現:透明感を活かした重ね塗りや、厚塗りによる立体的な表現ができる。

さまざまな下地に対応:キャンバス、紙、木材、プラスチックなど、幅広い素材に描ける。

向いている用途

• 油絵のような表現をしたい

• 透明感のある重ね塗りを活かしたい

• 壁画や大きな作品を制作したい

3. アクリルガッシュ画とは?

特徴

アクリルガッシュは「ガッシュ(不透明水彩)」と「アクリル絵具」の特性を合わせ持つ画材です。アクリル画と同じく乾燥後は耐水性になりますが、ガッシュのような不透明性が特徴です。

メリット

不透明で均一な発色:ムラなく塗れるため、ポスターやデザイン画に適している。

マットな仕上がり:光沢がなく落ち着いた印象の作品に仕上がる。

修正がしやすい:アクリル画よりも修正がしやすく、塗り直しが可能。

細かいディテールの表現に適している:ポスターカラーのような使用感で、くっきりした表現が得意。

向いている用途

• イラストやデザインワーク

• ポスターや広告制作

• フラットで均一な色を求めるアート作品

• コミック風やアニメ風の塗りにしたい場合

4. 実際の使用感の違い

筆の運び

アクリル画では、筆のタッチやストロークを活かした表現が可能ですが、アクリルガッシュは筆の跡が目立ちにくく、より均一な塗りができます。

色の重ね塗り

アクリル画は透明感を活かしたグレーズ(薄く重ねる技法)が可能ですが、アクリルガッシュは不透明なため、下地の色を完全に覆うことができます。

乾燥後の見た目

アクリル画は光を反射しやすく、光沢のある仕上がりになることが多いですが、アクリルガッシュはマットな仕上がりになり、落ち着いた印象を与えます。

5. どちらを選ぶべき?

アクリル画をおすすめしたい人

• 透明感のある重ね塗りを楽しみたい

• 厚塗りや油絵風の表現を試したい

• 壁画や大きな作品を作りたい

• 耐久性のある作品を描きたい

アクリルガッシュ画をおすすめしたい人

• マットで均一な仕上がりが好き

• イラストやデザインワークをすることが多い

• 細かい線やディテールを描きたい

• 修正がしやすい画材を使いたい

6. アクリル画とアクリルガッシュ画の併用

実は、アクリル画とアクリルガッシュ画を組み合わせて使うこともできます。たとえば、背景をアクリル画で透明感を活かして描き、メインのモチーフをアクリルガッシュでくっきりと描くことで、メリハリのある作品に仕上げることができます。

まとめ

アクリル画とアクリルガッシュ画は、どちらもアクリル絵具の特性を持ちながら、仕上がりや用途に違いがあります。どちらを選ぶかは、描きたい作品のスタイルや目的によって変わります。自分の作風や用途に合わせて、最適な画材を選びましょう。

ポイントまとめ

• アクリル画は透明感があり、厚塗りも可能で耐久性が高い。

• アクリルガッシュ画は不透明でマットな仕上がりになり、均一な発色が特徴。

• どちらも併用可能で、用途によって使い分けると表現の幅が広がる。

アクリル画とアクリルガッシュ画を活用し、自分だけの作品作りを楽しんでください!
ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)