ギャラリーウォールに使える額装テクニックとおすすめフレーム

はじめに|“飾り方”で作品の印象は変わる

ギャラリーウォールとは、複数のアート作品や写真を一つの壁面にバランスよく配置して飾るインテリアスタイルのことです。

その魅力は、個性あふれる作品群を一つの「物語」として演出できる点にあります。そして、作品自体だけでなく「額装(フレーミング)」の工夫によって、その物語性や世界観はより強く伝わります。

この記事では、ギャラリーウォールを引き立てるための額装テクニックや、空間に映えるおすすめのフレーム選びについて、プロの視点から丁寧に解説します。

額装テクニック1|フレームの色を空間に合わせて選ぶ

額装において「フレームの色選び」は、作品の印象だけでなく、壁面や部屋全体の統一感に直結します。

● モノトーンで統一感を演出

白・黒・グレーなどのフレームで揃えると、壁全体に統一感が生まれ、どんなアート作品も引き立ちます。特に白壁に白フレームは、洗練されたミニマルな印象に。

● 木製フレームで温かみを演出

ナチュラルウッドやウォールナットなどの木目フレームは、温かみのある空間に最適。北欧スタイルやナチュラルテイストの部屋との相性が抜群です。

● アクセントカラーで印象を強める

一部にカラー付きフレーム(例:ゴールド、ネイビー、ワインレッド)を取り入れると、空間にメリハリが生まれ、作品がより印象的に映えます。

額装テクニック2|サイズと配置でリズムを生む

ギャラリーウォールは、単に並べるだけではなく、「視線の流れ」や「リズム」を意識することで完成度がぐんと上がります。

● フレームサイズを意図的にバラす

すべて同じサイズで揃えると整然とした印象に。大小を組み合わせると動きと立体感が生まれ、視線を自然に誘導できます。

● 間隔を揃えることが鍵

たとえ異なるサイズのフレームでも、作品同士の“余白”を等間隔にすることで、統一感とリズムが生まれます。

● 中心軸を決めて配置する

目線の高さ(約145〜150cm)を中心軸にして、その上下にバランスよく配置することで、空間全体が安定した印象になります。

額装テクニック3|マット(マットボード)で奥行きを出す

作品の周囲に空白(マット)を設けることで、作品の存在感が一層際立ちます。

● 白マットで明るく見せる

白のマットは、作品をすっきりと引き立て、清潔感のある印象に仕上げてくれます。

● 黒マットで高級感を演出

黒のマットは引き締まった印象を与え、シックな雰囲気の部屋に最適です。

● マット幅を調整して“余白の美”を強調

マットの幅は30〜50mmが基本。作品の大きさや見せたい空間によって調整することで、より奥行きある印象を演出できます。

額装テクニック4|フレームの素材で雰囲気をコントロール

フレームの素材は、アートの表情を変える重要な要素です。

フレーム素材特徴合うアートの例
木製あたたかく柔らかい印象水彩画・ナチュラルアート
金属(アルミ)モダンでシャープな印象写真・抽象アート
アクリル軽量でスッキリ、耐久性◎カジュアルなプリント作品
装飾入りゴールド華やか・クラシックな印象クラシック絵画・宗教画

額装テクニック5|フレームなしの“フローティング”演出も◎

近年人気の「フレームレス」や「フローティング(浮いて見える)」展示方法も、ギャラリーウォールに動きを与える方法の一つです。

● アクリルカバー+背板の透明構造

まるで作品が宙に浮いているように見えるフレームは、現代アートやミニマルデザインとの相性が抜群。

● キャンバスそのままの壁掛け

キャンバス作品は額装せず、木枠のまま飾ることでナチュラルで力強い印象に。ラフな飾り方がトレンドとなりつつあります。

おすすめのフレーム5選(日本で購入可能)

1. 無印良品「アルミ額」

ミニマルなデザインで、どんな作品にも合わせやすい。軽量で飾り替えも簡単。

2. ニトリ「木製アートフレームシリーズ」

豊富なサイズ展開と木の温もり。コストパフォーマンスも◎。

3. IKEA「RIBBA(リッバ)」

定番の大人気シリーズ。奥行きのあるマット入りで立体感を演出。

4. マルニ額縁画材店「木製カスタムフレーム」

オーダー対応可能。プロ仕様で高級感もあり、長期展示におすすめ。

5. アルテ「アクリルフロートフレーム」

透明感と軽やかさが魅力。現代的な作品をスタイリッシュに見せたいときに最適。

額装テクニックの応用|“テーマ別”ギャラリーウォールを作る

統一テーマでフレームをコーディネートすると、より一体感のある空間が生まれます。

  • ナチュラル系ギャラリー:木目フレーム+植物画・風景画
  • クラシカル系ギャラリー:装飾フレーム+肖像画・名画プリント
  • モダン系ギャラリー:黒フレーム+抽象画・写真
  • 癒しアートギャラリー:白・ゴールドフレーム+太陽・富士山・天使の絵

まとめ|額装は作品と空間をつなぐ“演出装置”

ギャラリーウォールにおける額装は、単なる飾りではなく、作品の個性と空間の魅力を最大限に引き出す“演出装置”です。

「どんなフレームに入れるか」「どこに、どのように飾るか」によって、アートの見え方や感情的な印象は大きく変わります。

今回ご紹介したテクニックやおすすめフレームを参考に、あなたらしいギャラリーウォールを自由に楽しんでみてください。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)