パネルにアクリル画を貼る方法とそのメリット

アクリル画はキャンバスや紙に描くのが一般的ですが、パネルに貼ることで耐久性が向上し、作品の保存や展示がしやすくなります。

この記事では、アクリル画をパネルに貼る方法を詳しく解説し、そのメリットについても紹介します。

アクリル画をより長持ちさせ、美しく見せるために、適切な貼り方を学びましょう。

アクリル画をパネルに貼るメリット

まず、なぜアクリル画をパネルに貼るのか、そのメリットについて説明します。

作品の耐久性が向上する

紙やキャンバスに描いたアクリル画は、時間の経過とともに劣化することがあります。しかし、パネルに貼ることで、紙の波打ちやキャンバスのたるみを防ぎ、長期間美しい状態を保つことができます。

額装なしで展示できる

パネルに貼ることで、額装せずにそのまま壁に飾ることが可能になります。シンプルでモダンな印象を与え、ギャラリーや自宅のインテリアとしても適しています。

作品が平らに保たれる

紙に直接描いた作品は湿度や温度変化によって波打ちや反りが発生しやすいですが、パネルに貼ることでこれらの問題を防げます。特に、アクリル絵具は乾燥すると硬くなるため、紙が反りやすいのですが、パネルに固定することで美しい状態を維持できます。

修復や保管がしやすい

パネルに貼ることで作品がしっかり固定されるため、移動時の損傷リスクが低くなります。また、フレームなしでも丈夫なので、保管がしやすく、スタックして収納することも可能です。

アクリル画をパネルに貼るための準備

必要な材料

アクリル画をパネルに貼るには、以下の材料が必要です。

  • パネル(木製・MDFなど*下記『!パネルについて参照』)
  • アクリル画(紙・キャンバスなどに描いたもの)
  • ジェルメディウム(マットまたはグロス)
  • 刷毛またはローラー
  • ゴムヘラ(スキージー)
  • 重し(本など)
  • サンドペーパー(必要に応じて)

パネルは表面が滑らかで歪みがないものを選ぶと仕上がりがきれいになります。

アクリル画をパネルに貼る手順

パネルの下準備

パネルの表面がざらついている場合は、サンドペーパーで軽く研磨し、表面を滑らかに整えます。その後、ホコリを拭き取りましょう。

ジェルメディウムを塗る

ジェルメディウムをパネルの表面に均一に塗ります。刷毛やローラーを使って、ムラができないように注意してください。

アクリル画を貼る

アクリル画を慎重にパネルの上に置きます。このとき、空気が入らないように中央から外側に向かってゴムヘラやスキージーで押さえながら貼ると、シワや気泡を防ぐことができます。

乾燥させる

貼り終わったら、作品の上にクリーンな紙や布を敷き、その上に重しをのせて数時間から一晩しっかり乾燥させます。

仕上げのコーティング

完全に乾燥したら、仕上げに保護用のワニスを塗ると、さらに耐久性が向上し、表面の保護にもなります。ワニスにはグロス(ツヤあり)、サテン(半ツヤ)、マット(ツヤなし)などがあり、好みに応じて選びましょう。

うまく貼るためのコツと注意点

しっかりと乾燥させる

ジェルメディウムが乾かないうちに触ると、シワができたり剥がれやすくなります。十分に乾燥させることが重要です。

端までしっかり接着する

特に端の部分が浮かないように、ジェルメディウムをしっかり塗って圧着することが大切です。

適切なパネルを選ぶ

湿気の影響を受けにくいMDFパネルやシナベニヤパネルを選ぶと、長期間の保存に適しています。

まとめ

アクリル画をパネルに貼ることで、作品の耐久性が向上し、展示や保管がしやすくなります。

ジェルメディウムを使った貼り方をマスターすれば、作品の仕上がりが美しくなり、よりプロフェッショナルな印象を与えることができます。

ぜひ今回紹介した方法を試して、大切なアクリル画を長く美しく保ちましょう!

パネルについて

「パネル(木製・MDFなど)」は、アクリル画を貼るための土台となる板を指します。パネルにはいくつか種類があり、それぞれ特徴があります。以下に主な種類とその特徴を紹介します。

木製パネル(シナベニヤ・桐など)

特徴

  • 耐久性が高い … 木製なのでしっかりしており、長期間の保存に適している。
  • 軽量なものもある … 桐などの軽い木材を使ったパネルは持ち運びがしやすい。
  • 湿度による影響を受けることがある … 木材は湿気を吸収しやすいため、反りや変形を防ぐために裏面に補強があるものを選ぶと良い。

おすすめの用途

  • 長期保存を考えている作品
  • 直接アクリル絵具で描く場合にも適している

MDFパネル(中密度繊維板)

特徴

  • 表面が滑らかで均一 … 木の繊維を圧縮して作られているため、凹凸が少なく、アクリル画を貼る際に適している。
  • 価格が比較的安い … 木製パネルよりもリーズナブルなものが多い。
  • やや重い … 木材を圧縮して作られているため、厚みがあると重くなることがある。

おすすめの用途

  • コストを抑えつつ、滑らかな土台がほしい場合
  • 屋内展示用の作品

ハードボード(ベニヤ板・プレスボード)

特徴

  • MDFよりさらに安価 … コストを抑えたい場合に適している。
  • 強度はMDFよりやや低め … 強度はあるが、MDFに比べるとやや弱いことがある。
  • カットしやすい … 必要なサイズに自分で切ることが可能。

おすすめの用途

  • 試作品や練習用の作品
  • 一時的な展示用の作品

フォームボード(発泡ボード)

特徴

  • 非常に軽い … 他のパネルと比べて圧倒的に軽量。
  • 湿気や衝撃に弱い … 湿度の高い環境では変形しやすい。
  • 短期間の展示向け … 長期保存には向かないが、短期間の展示用に便利。

おすすめの用途

  • 軽量化を重視したい場合
  • 短期展示用の作品

パネルを選ぶ際のポイント

  • 長期保存したい場合 → 木製パネルやMDFがベスト
  • コストを抑えたい場合 → MDFやハードボードが良い選択
  • 軽さを重視する場合 → 桐の木製パネルやフォームボードを検討

このように、作品の用途や展示方法に合わせて適切なパネルを選ぶことが大切です。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)