アクリルガッシュ絵具が衣服に付いてしまった時の落とし方

はじめに

アクリルガッシュは鮮やかな発色とマットな質感が特徴の絵具で、多くのアーティストに愛用されています。しかし、速乾性が高く、衣服に付着すると落ちにくいのが難点です。特に乾燥してしまうと繊維に強く定着し、通常の洗濯では完全に落とせないこともあります。

本記事では、アクリルガッシュ絵具が衣服に付いてしまった際の効果的な落とし方を、**「付着直後」「半乾き」「完全に乾燥」**の3つの状況に分けて解説します。また、布地の種類ごとの注意点や、失敗しないための予防策についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

アクリルガッシュが衣服に付着した直後の対処法(乾く前)

最も効果的に落とせるのは、絵具がまだ乾いていない状態です。この段階で適切に処理すれば、ほとんど跡を残さずに洗い落とすことが可能です。

手順

すぐに水で洗い流す

  • 絵具が布の繊維に染み込む前に、水道水で勢いよく洗い流します。
  • 必要に応じて指でこすりながら、なるべく多くの絵具を取り除きましょう。

中性洗剤または液体石鹸で洗う

  • 水洗いだけでは落ちない場合は、食器用洗剤や液体石鹸を使ってもみ洗いすると効果的です。
  • 洗剤を汚れに直接なじませ、ぬるま湯を使ってこすると落ちやすくなります。

洗濯機で通常洗い

  • 洗剤でもみ洗いした後、通常の洗濯コースで洗濯機にかけます。
  • この時点で汚れがほぼ落ちていれば、通常の洗濯で完全に除去できることが多いです。
✅ ポイント
  • お湯(40℃以上)は使わない!
  • アクリルガッシュは熱で固まる性質があるため、高温のお湯を使うと落としにくくなることがあります。
  • こすりすぎに注意!
  • ゴシゴシこすると布地が傷む原因になるので、やさしくもみ洗いしましょう。

半乾きのアクリルガッシュを落とす方法

半乾きの状態は、まだ完全に衣服の繊維に定着していないため、適切な処理をすれば比較的落としやすいです。

手順

水で湿らせる

  • 乾燥しかけた絵具を柔らかくするために、汚れ部分を水で湿らせます。

中性洗剤やアルコールでこすり洗い

  • 食器用洗剤や液体石鹸をつけて、歯ブラシなどでやさしくこすります。
  • さらに落ちにくい場合は、消毒用アルコール(エタノール)を使用すると絵具が溶けやすくなります。

洗濯機で洗う

  • もみ洗いである程度落ちたら、通常の洗濯コースで洗濯機にかけます。
✅ ポイント
  • アルコールを使う場合は目立たない部分で試す
  • 布地によっては変色の可能性があるため、まずは目立たない部分でテストしましょう。
  • すぐに洗濯することが重要!
  • 時間が経つと完全に乾いてしまい、さらに落ちにくくなります。

完全に乾いてしまったアクリルガッシュを落とす

完全に乾燥したアクリルガッシュは、衣服の繊維に強固に定着してしまうため、通常の洗濯では落ちにくいです。この場合、以下の方法を試してみましょう。

手順

絵具の表面を削る

  • まずは、乾いた絵具をスプーンやナイフの背で削り取ると、後の処理がしやすくなります。

アルコールまたはアセトンで溶かす

  • 消毒用アルコール(エタノール)や除光液(アセトン)を汚れ部分に染み込ませます。
  • しばらく放置して絵具が浮き上がってきたら、歯ブラシなどでやさしくこすり取ると効果的です。

酸素系漂白剤を使用する(白い衣類のみ)

  • 白い衣類の場合、酸素系漂白剤を使うことで汚れを分解できます。
  • 漂白剤を薄めた水に30分ほど浸け置きした後、通常の洗濯を行いましょう。

最終手段:ドライクリーニング

  • シルクやウールなどのデリケートな布地の場合は、無理にこすらずクリーニングに出すのが安全です。
✅ ポイント
  • アセトンは色落ちしやすいので注意!
  • 色柄ものの衣服に使用すると、布地の色まで抜けてしまうことがあります。
  • 繰り返し処理することで少しずつ落とす
  • 一度で完全に落ちない場合は、何度か試すとより効果的です。

布地ごとの注意点

布地の種類適した処理方法注意点
綿・ポリエステル水洗い・洗剤・アルコール比較的丈夫なので強めの処理も可
ウール・シルククリーニング推奨水洗いNG、摩擦に弱い
デニム水洗い・洗剤・アルコール繊維が太いため比較的落としやすい
ナイロン・アクリル水洗い・中性洗剤熱に弱いのでお湯はNG

事前にできる予防策

  • 作業時はエプロンや古着を着る
  • 防水スプレーを衣服にかけると汚れが落ちやすくなる
  • アクリル絵具を使う際はすぐに拭き取れる環境を整える

まとめ

アクリルガッシュが衣服に付いた場合、乾く前なら水洗いで簡単に落とせるため、素早い対処が最も重要です。

乾燥してしまった場合でも、アルコールや洗剤、漂白剤を使えばある程度落とすことが可能なので、状況に応じた方法を試してみましょう。

予防策をしっかり取ることで、絵具が衣服に付着するリスクを減らし、快適にアート制作を楽しめます。

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ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)