メディウムの種類と使い方:透明メディウム、ジェル、ペースト

絵画制作において、「メディウム(medium)」は、絵具の性質を変化させるために使用される重要な画材です。特にアクリル絵具では、透明メディウム、ジェル、ペーストなどさまざまな種類のメディウムがあり、それぞれ特性や用途が異なります。

本記事では、メディウムの基本的な役割を説明した後、主な種類である透明メディウム、ジェルメディウム、ペーストメディウムについて詳しく解説します。これらを活用することで、作品の質感や表現の幅を大きく広げることができますので、ぜひ参考にしてください。

1. メディウムとは?その役割と基本的な使い方

メディウムの役割

メディウムは、以下のような目的で使用されます。

• 粘度の調整:絵具を薄めたり、厚みを持たせたりできる。

• 透明度の調整:不透明な絵具を透明にしたり、色の深みを増したりできる。

• 質感の変化:ツヤを出したり、マットな仕上がりにしたりできる。

• 接着力の強化:キャンバスや紙にしっかり定着させることができる。

• 乾燥時間の調整:乾燥を遅らせたり、速めたりすることができる。

基本的な使い方

メディウムは、絵具と混ぜて使うのが一般的です。割合は用途によって異なりますが、以下のような方法があります。

• 少量混ぜる → 絵具の伸びを良くする

• 多めに混ぜる → 質感を変えたり、透明感を強調したりする

• 単体で塗る → 下地処理や、光沢・マット仕上げの調整に使う

次の章では、代表的なメディウムの種類について詳しく見ていきましょう。

2. 透明メディウム:絵具の透明感を引き出す

透明メディウムとは?

透明メディウム(グレージングメディウムとも呼ばれる)は、アクリル絵具の透明度を高めるためのメディウムです。絵具と混ぜることで、グレーズ(薄い色の層を重ねる技法)を作るのに適しています。

特徴と効果

• 透明感の向上:不透明な絵具をクリアにし、色を重ねやすくする。

• 光沢の調整:ツヤを出すタイプ、マットにするタイプがある。

• 速乾性:アクリル絵具の特性上、速く乾燥するが、メディウムによっては少し乾燥を遅らせるものもある。

• 色の深みを増す:透明な層を重ねることで、色に奥行きを出せる。

使い方のポイント

1. 絵具と混ぜる:パレット上で、絵具に透明メディウムを加えてよく混ぜる。

2. 薄く塗る:筆やパレットナイフを使い、少しずつ重ねるのがコツ。

3. 層を重ねる:完全に乾いてから次の層を塗ることで、美しいグラデーションができる。

おすすめの透明メディウム

• リキテックス グロス メディウム(光沢仕上げ)

• ゴールデン マット メディウム(マット仕上げ)

3. ジェルメディウム:厚みを出しながら透明感を保つ

ジェルメディウムとは?

ジェルメディウムは、アクリル絵具に厚みを持たせるためのメディウムです。透明な状態を維持しつつ、立体感のある表現が可能になります。

特徴と効果

• 厚塗りができる:盛り上がったテクスチャを作るのに適している。

• 透明感がある:乾燥後も透明度を保つため、光の透過を活かした作品作りが可能。

• 仕上がりの違い:光沢タイプ、マットタイプ、サテン(半光沢)タイプがある。

使い方のポイント

1. 絵具と混ぜる:ジェルメディウムと絵具を混ぜて、粘り気を調整する。

2. パレットナイフを使う:筆ではなく、ナイフを使うことで立体感を強調できる。

3. 乾燥後に加工する:完全に乾いた後に、削ったり、重ね塗りしたりできる。

おすすめのジェルメディウム

• リキテックス ヘビージェル(厚みのあるテクスチャ向き)

• ゴールデン ソフトジェル(なめらかで扱いやすい)

4. モデリングペーストメディウム:立体的な質感を作る

モデリングペーストメディウムとは?

モデリングペーストメディウムは、ジェルメディウムよりもさらに厚みのある質感を作るためのメディウムです。粘土のような質感を持ち、乾燥後も固い表面を形成します。

特徴と効果

• 立体感のある表現:彫刻的なテクスチャを作ることができる。

• 不透明な仕上がり:ジェルメディウムとは異なり、白っぽく仕上がる。

• 硬化後の加工が可能:削ったり、紙や布を貼り付けたりできる。

使い方のポイント

1. 直接塗る:パレットナイフで厚く塗り、好みの形状に整える。

2. 乾燥を待つ:完全に乾くまで時間がかかるため、数時間~1日置く。

3. 上から絵具を塗る:乾燥後に絵具を重ねることで、より豊かな表現ができる。

おすすめのモデリングペーストメディウム

• リキテックス モデリングペースト(硬めのテクスチャ向き)

• ゴールデン ライトモデリングペースト(軽量で扱いやすい)

まとめ

メディウムを使うことで、アクリル絵具の可能性が大きく広がります。

透明メディウム:透明感を高め、色の重なりを美しくする。

ジェルメディウム:厚みを出しながら透明感を活かせる。

モデリングペーストメディウム:立体感のある質感を作るのに最適。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)