ポスターではなく“ジクレー”を選ぶ理由とは?

近年、アート市場で「ジクレー(Giclée)」と呼ばれる高品質な複製技術が注目されています。

気軽にアートを楽しむ手段として従来から広く普及してきた「ポスター」は、多くの方にとって身近な選択肢です。

ですが、なぜ今、アート愛好家やコレクターが「ポスターではなくジクレーを選ぶ」のか? この記事では、ジクレーが選ばれる理由と、ポスターとの違い、さらにはその魅力をたっぷりご紹介します。

1. ジクレーとは?その特徴

ジクレー(Giclée)は、フランス語で「吹き付ける」という意味を持つ言葉からきています。

その名の通り、高精細なインクジェットプリンターにより、高解像度データを吹き付けるように出力するアート複製技術です。

単なる複製ではなく、高品質な顔料インクとアーカイバル用紙(美術館級の保存性に優れた紙やキャンバス)を使用することから、原画に非常に近い再現性と、長期にわたる色褪せにくさを誇っています。

2. ポスターとの根本的な違い

一方、一般的なポスターは大量生産が前提となり、オフセット印刷安価な用紙、耐久性が低いインクを用いることがほとんどです。

そのため、手に取りやすい価格帯ではありますが、以下のようなデメリットがあります。

  • 色褪せや黄変が早い
  • 紙質が薄く破れやすい
  • 印刷精度が粗く、作品本来の色やディテールが再現されにくい

これに対してジクレーは、アート作品そのものに匹敵する質と耐久性を備えていることから、コレクション目的や長期間にわたって飾りたい方に最適な選択となっています。

3. ジクレーの魅力① 色再現性と質感

ジクレーは最高解像度でのプリントが可能で、繊細な筆致や微妙なグラデーション、テクスチャーまでも忠実に再現することができます。

そのため、アーティストが表現したい世界観をそのまま再現でき、見る人に感動を与えます。

さらに、アート専用キャンバスや版画用紙にプリントすることで、原画に近い質感を再現できる点も見逃せません。この質感こそが、ジクレーが単なる「複製」以上の価値を持つ理由です。

4. ジクレーの魅力② 長期保存性と耐久性

ジクレーで使われる顔料インクは、紫外線や湿気に対する耐性に優れており、耐光性が数十年から100年以上と言われています。

さらに酸性成分を含まないアーカイバル用紙やキャンバスに印刷することで、経年劣化や黄変が起きにくいのが特徴です。

一方で、ポスターは数年で色褪せたり破れたりすることが多いため、長期間美しい状態で楽しみたい方にはジクレーが適しています。

5. ジクレーの魅力③ 限定性と希少価値

ジクレーはアーティストが部数を限定し、エディションナンバーや署名を入れることも多いです。この限定性があるからこそ、作品に特別な価値が生まれます。

つまり、ただ「飾る」というだけではなく、所有する喜び資産性を感じられる点も大きな魅力です。

6. なぜジクレーはアートファンに人気なのか

ジクレーはアートを愛する方にとって、

  • 本物に近い見た目
  • 長期保存できる安心感
  • アーティストとのつながりが感じられるエディション性

など、単なる装飾以上の意味を持っています。そのため、リビングや寝室に飾るだけでなく、将来にわたって家宝として受け継ぐ方も増えています。

7. お部屋に飾るときに差が出るポイント

ジクレーは色彩が鮮やかで細部まで繊細なため、どんなお部屋に飾っても存在感と高級感を演出できます。

また耐光性が高いので、自然光が入る場所に飾っても劣化が少なく、長くその美しさを楽しめるでしょう。

さらに、高級感のある額装やキャンバス張りのジクレーは、そのまま壁にかけるだけでギャラリーのような雰囲気を出すことが可能です。

8. ジクレーの選び方と購入時に気をつけたいポイント

これまでジクレーがポスターに勝る魅力について解説してきましたが、実際にジクレーを選ぶ際には、いくつかの注意点選び方があります。

これらを意識することで、後悔しない作品選びができるでしょう。

① 用紙やキャンバス素材に注目

ジクレーに使われる素材にはさまざまな種類があります。
代表的なものには以下が挙げられます。

  • アート紙(版画用紙):コットン100%で耐久性が高く、繊細な色再現が可能
  • キャンバス:原画に近いマットな質感が特徴で、高級感ある仕上がり
  • 和紙:日本らしい落ち着いた風合いとテクスチャが魅力

どんな質感や雰囲気で楽しみたいかに応じて選ぶとよいでしょう。

② 版数とエディションナンバーを確認する

アート市場においてジクレーは限定部数が設定されることが一般的です。

限定部数が少ないほど希少性が増し、資産価値としても評価されやすくなります。

購入時にはエディションナンバー(例:10/50のような記載)やアーティストによる署名がきちんと入っているかを必ず確認しましょう。

③ 長期展示を考えた額装や保護

ジクレーは耐久性が高いとはいえ、額装や保護ガラス(UVカットガラス、アクリルなど)を用いると、さらに紫外線や埃から守ることができます。

作品に合わせた額装を選ぶことで、インテリアとしての一体感も増し、アートの魅力を一層引き立てることができます。

9. ジクレーを長く美しく楽しむためのメンテナンス

ジクレーは耐久性があるとはいえ、ちょっとした工夫でさらに美しく長持ちさせることが可能です。

定期的なほこり取り
 柔らかい羽根ばたきやマイクロファイバークロスでやさしく表面を掃除することで、鮮やかな色を維持できます。

直射日光の当たらない場所に飾る
 紫外線が長時間当たる場所は避け、間接光の差す落ち着いた場所に飾ると長持ちします。

湿度に注意する
 極端に湿度が高い環境や乾燥が進みすぎる部屋は紙やキャンバスに負担がかかるので避けましょう。

10. まとめ:長く愛せるアートを選ぶ

以上のように、ジクレーはポスターにはない数々の魅力を持っています。気軽さや価格だけで選びがちなポスターに対し、ジクレーはアートファンにとって以下の価値を提供します。

  • 本物に近い美しさ
  • 長期にわたる耐久性
  • 所有することの満足感と希少性

アートは空間に命を吹き込み、見る人に感動と癒やしを与えてくれるもの。その魅力を長く楽しむために、ポスターではなくジクレーを選んでみてはいかがでしょうか?

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)