風景画を飾ると心が落ち着く理由 〜インテリアに癒しをもたらすアートの力〜

現代の私たちは、仕事や家事、さまざまな人間関係などで日々ストレスを感じやすい環境にあります。

そんな中、部屋に風景画を一枚飾るだけで、まるで自然の中にいるような癒しを感じ、心が落ち着くという声は少なくありません。

では、なぜ風景画を飾ると心が安らぐのでしょうか。

この記事では、その理由を心理学的・インテリア的な観点から詳しくご紹介し、さらに風景画を選ぶポイントや飾り方のコツまで掘り下げます。

心地よい空間づくりの参考にしていただければ幸いです。

1. 風景画が心に安らぎを与える心理的な理由

1-1. 人は自然に癒される生き物だから

人間には本能的に自然の風景に癒される性質があります。

心理学では「バイオフィリア(生物への愛着)」という考え方があり、人は太古から自然の中で暮らしてきたために、緑や水、山や空といった自然の要素に接すると無意識に心がリラックスする傾向があります。

風景画は、その自然の風景を室内に取り込む役割を果たしてくれるため、見るだけで心地よい安心感や落ち着きを覚えるのです。

1-2. 記憶とつながる癒しの効果

例えば田舎の風景や海辺の風景を描いた絵を見たときに、「子どもの頃に家族で行った旅行」を思い出して懐かしくなったり、「いつか行きたい場所」を想像したりした経験はないでしょうか。

風景画は私たちの中にある記憶や理想のイメージと結びつきやすく、眺めるたびに穏やかな感情を呼び覚ましてくれます。

その結果、日常の不安やストレスを一時的に忘れさせてくれるのです。

2. 風景画の癒し効果を高める3つのポイント

2-1. 色彩の持つ心理的効果

風景画にはさまざまな色が使われています。

例えば青はリラックスを促し、緑は安心感を与える色です。

これらの色が含まれた風景画を選ぶことで、より心を落ち着かせる効果が高まります。

反対に、赤やオレンジなどの暖色系が多すぎると活発な気持ちを刺激するため、「癒し」を重視するなら寒色系や中間色がベースの絵を選ぶのがおすすめです。

2-2. 構図や遠近感の効果

風景画の構図にも、人をリラックスさせるヒントがあります。

奥行きがある構図や水平線の見える景色は、開放感や広がりを感じさせ、人の視野を広げる心理効果があります。

閉塞感の強い空間に飾るなら、遠くに向かって抜けのある構図の絵を選ぶと圧迫感が軽減し、空間が広く見える効果も期待できます。

2-3. 季節感を取り入れる

季節の風景を描いた作品を部屋に飾ると、季節の移り変わりを身近に感じられ、心のリズムを整える効果があります。

春には桜や新緑、夏は海や青空、秋は紅葉、冬は雪景色といったように、絵を入れ替えることで四季の流れを暮らしに取り込むのも一つの楽しみ方です。

3. 風景画を飾るメリットとインテリア効果

3-1. 部屋の印象を変える

風景画は一枚飾るだけで部屋の印象をがらりと変える力があります。

壁面が殺風景だった空間に絵を取り入れることで、インテリアに「物語性」や「テーマ性」を生み出せます。

例えば、北欧風のシンプルな部屋には柔らかい色合いの自然風景を、モダンインテリアにはモノトーンの風景画を合わせるなど、部屋のテイストに合わせて選ぶのがおすすめです。

3-2. コミュニケーションのきっかけになる

来客があったときに、飾ってある風景画が話題になることもあります。
「この絵、どこかで見たような風景だね」
「作者さんはどんな人?」
といったように、絵がコミュニケーションの架け橋になるのです。

また自分自身も絵を眺めながら「いつかこの場所に行ってみたい」と前向きな気持ちを持つきっかけになります。

4. 風景画を飾るときのポイント

4-1. 飾る場所の高さに注意

風景画を飾るときは、目線の高さに合わせるのが基本です。

高すぎたり低すぎたりすると見づらく、落ち着きにくい印象になります。

立ったときの目線より少し下くらいに合わせると、リラックスしながら自然に視界に入りやすくなります。

4-2. 照明との組み合わせ

風景画は照明の当たり方で印象が大きく変わります。

スポットライトやピクチャーライトなどを使ってやわらかく照らすことで、より絵の魅力を引き立てることができます。

逆に直射日光が当たりすぎる場所は色あせの原因になるので注意しましょう。

4-3. 額縁の選び方

風景画の雰囲気を損なわない額縁選びも大切です。

ナチュラル系の木製フレームは自然風景にぴったりですし、シンプルな白フレームならモダンな空間にも合わせやすいです。

フレームの素材や色によって印象が大きく変わるため、お部屋のインテリアカラーに合わせてコーディネートしましょう。

5. 風景画のテーマ別おすすめシーン

ここでは、どんな風景画をどんなお部屋に飾るとより心が落ち着くか、具体的にご提案します。

5-1. 海や青空の風景画 〜開放感とリフレッシュ〜

青い空や水平線が広がる海の風景は、気分をリフレッシュさせ、ストレスを軽減してくれる効果があります。

仕事部屋や書斎など集中力を必要とする空間に飾ると、視界が開けたような爽快感を与えてくれます。

5-2. 森や木々の風景画 〜安心感と癒し〜

緑豊かな森林や木立の風景は、副交感神経を優位にしてリラックスさせる効果が期待できます。

リビングや寝室など、心身を休めたい場所に最適です。

絵を見るたびに深呼吸をしたくなるような落ち着きをもたらしてくれるでしょう。

5-3. 田園風景や里山の風景画 〜郷愁と温かさ〜

田園風景や日本の里山のような懐かしい景色は、「原風景」としての安心感を呼び覚まします。

祖父母の家や子ども時代の記憶に重なる人も多く、心にほっとする温かさを与えてくれます。

家族団らんのダイニングや和室などに飾るとよいでしょう。

5-4. 季節を感じる風景画 〜暮らしにリズムを〜

例えば春の桜、秋の紅葉など、日本ならではの四季を感じる絵は、日常に季節感を取り入れやすいのが魅力です。

季節の変わり目に合わせて絵を掛け替えれば、暮らしにささやかな変化が生まれ、気分転換にもなります。

6. 風景画を取り入れた実例紹介

さらに具体的なイメージとして、実際に飾るシーンの一例をご紹介します。

  • 新築のマンションリビングに、青空と山の稜線を描いた大判の風景画を飾る。
    → 窓が少ない部屋でも、奥行き感と開放感を演出できる。
  • カフェ風のダイニングに、緑豊かな丘の風景画を飾る。
    → 食卓に集まる家族や来客の会話が弾むきっかけに。
  • 和室に、田園風景の日本画風の作品を掛ける。
    → 畳の空間に馴染み、季節の趣を感じられる。
  • 子ども部屋に、小さな森をモチーフにした明るい風景画を置く。
    → 好奇心を刺激しつつ、安心感を与えるインテリアになる。

このように、飾る場所の役割やお部屋のテーマに合わせて風景画を選ぶと、より心が落ち着く空間がつくれます。

まとめ 〜風景画は“心の処方箋”〜

風景画は単なる装飾品ではなく、自然に親しむ気持ちを思い出させてくれる“心の処方箋”のような存在です。

人間は本能的に自然の風景に癒しを感じ、穏やかさや前向きな気持ちを取り戻す力を持っています。

さらに、絵に描かれた風景は見る人の記憶や憧れとも結びつき、心の奥に安心感や癒しを与えてくれます。

加えて、風景画には
・空間を広く感じさせる
・季節感を取り入れる
・インテリアのアクセントになる
といった実用的な魅力もあります。

毎日の暮らしの中で、ストレスや不安を少しでも和らげるために、お気に入りの風景画を選んで飾ってみてはいかがでしょうか。

自然の色や光に包まれるような感覚を味わうことで、気持ちが安定し、豊かさを感じられるはずです。

「忙しくて旅行に行けない」
「自然に触れる時間がない」
そんなときこそ、風景画を一枚取り入れるだけで心の中に穏やかな風景が広がり、暮らしにやさしい潤いを与えてくれるでしょう。

ABOUT US
満園 和久
3歳の頃、今で言う絵画教室に通った。その絵の先生はお寺の住職さんであった。隣町のお寺で友達の3歳児とクレヨン画を学んだ。 それ以降も絵を描き続け、本格的に絵画を始めたのは30歳の頃。独学で油彩画を始め、その後すぐに絵画教室に通うことになる。10年ほどの間、絵画教室で学び、団体展などに出展する。 その後、KFSアートスクールで学び油彩画からアクリル画に転向しグループ展や公募展等に出品し続け現在に至る。 ここ20年程は、「太陽」「富士山」「天使」をテーマにして絵画を制作。 画歴は油彩を始めてから数えると35年になる。(2024年現在) 愛知県生まれ 愛知県在住 満園 和久 (Mitsuzono Kazuhisa)